●『満州事変発生日』の2日後の哈爾浜の街に漕ぎ出す
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もともと反日感情MAXの土地へ、反日感情MAXのタイミングで訪問か・・・(´ω`)

ろくに下調べしないでくるとこういう事になるんだねえ。

とりあえず、父の遠い記憶にある『大成街』に向かいつつ、カフェで一服しようか。

なんだかんだで寝台特急でほとんど眠れなくて、クタクタだから・・・



















●しかし、大成街に向かう道は大規模な再開発中の模様・・・
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哈爾濱駅前は大規模な再開発のさなかで、複数の街区がほっくりかえされて土の山になっている。

早朝6時台にも関わらず稼働中の工事現場の中を、地元の人がのんびりと歩いてゆく。

大成街に行くにはこちらを通らないとかなり遠回りになる。

僕もこの土の山を越えて行ってみようか・・・。




















●さすがに、ハードルが高い
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工事スタッフに見とがめられて文句言われたら、うまく対応できないかも知れない。

反日感情MAXと聞くし、下手な事はしまいと反対方向に漕ぎ出す。

いずれにしても駅の周りにカフェぐらいあると思ったが、面白いくらいに1軒もないね、この街には

・・・お?



















●色々な路上販売や屋台が多いエリアに入ってきた
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近隣の農家や、行商人が店を道端で物を売るのが盛んらしい。

それぞれ、結構な人が集まって賑わっている様に見える。

メールチェックとかできるカフェがいいかと思っていたけれど、屋台で朝食という手もあるかな・・・。

信号待ちをしている時、すぐ隣で営業をしている屋台に目がいく

調理している屋台の隣に、小さなテーブル1基と小さな丸イス3脚がセットになった食卓を2つ出し、

地元の人が3人、クレープとスープの様な朝食を食べている。

美味しそうだ。





















●店のおばちゃんは僕の視線に気づいで「オイデオイデ」と手招きする
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「・・・」

どうしようか迷ったが、記念に1つくらい食べていってもいいかな。

近づいて見てみると、あ、これ、昔ばあちゃんがおやつによく作ってくれた満州の料理じゃないか

たしか『なんとかピン』・・・。

屋台のおばちゃん:「おいしいよっ2つにする?」

KOU:「うーん・・・1つでいいや。いくら?」

おばちゃん:「10元(約160円)よ」

『シケた旅行者ね』という感じで笑うおばちゃんにお金を渡す。

おばちゃん:「具はどれがいい?」

KOU:「えーと・・・」

言葉が判らないのでギョーザの具っぽいヤツを指さすと、焼きたてのクレープを1枚くれた。

アチチチ・・・

渡されたクレープを持って、小さな食卓のほうに行って着席すると、

先に食事していた地元客が『変なのが来たな』という様な感じで僕の方を見て来た。




















●たしかに美味しそうだ
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アツアツのうちにいただこう

いただきまーす。

パクっ!



















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好吃(おいしい)!!

サクッ!と噛みきった生地の中に、ギョーザ的な具がバランスよく入っていて、めちゃ美味いぞコレ。

ばあちゃんが作ってくれたのとは違うタイプのクレープだが、こっちの方が美味しい。さすが本場。




















周りにいた地元客は、いちいち写真を撮っている僕に好奇の目を向けていたようだが、

クレープの断面を撮影したところで爆笑された。

結構、珍しい行為らしい。

とても美味しかったので、今度は野菜が詰まったクレープをもう1枚注文することにした。

屋台のおばちゃんはこのヘンテコな旅行者を気に入ってくれたようで、具をサービスしてくれると言う。

おばちゃん:「スープも飲むでしょう?」

KOU:「いくら?」

おばちゃん:「30元(約480円)




















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絶対、地元の人向けの価格と違うと思うが、美味しそうだしまあいいや

少し酸味が効いてスッキリした味のスープが、朝にぴったりという感じ♪

とても美味しい

満足してニコニコして食べていると、屋台の空気がとても和んだようだ。

そのうち、周りのばあさんやじいさんが面白がって「どこから来た旅行者だろう」みたいな話を始めた。

「北京からじゃないか?」(いやいや、北京の人だったら中国語完璧に判ってるでしょう)

「台湾じゃないかしら」(台湾の人ももう少し『普通話(大陸の共通語)』話せるんじゃないかしら・・・?)

「韓国っぽいよ」(ああ、韓国人も中国語は判らなそうね・・・)

みんなは色々話をしていたが、「日本」というワードは出てこないもんだな・・・




















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まあいいや、このままみんなの話聞きながし、ニコニコしながらご飯食べ終えておさらばしよう・・・

と思ってたら、目の前でご飯食べていたばあちゃんが声をかけてきた。

ばあちゃん:「あなた、どこから来たの?」

KOU:『ドキッ

あー・・・うー・・・・

少し迷ったが、せっかくの機会だから正直に話してみるか・・・

KOU:「日本から来ました・・・」

すると、明らかに食卓の気配が変わった。



















●和やかだった朝の食卓は明らかに冷えた雰囲気になり、地元のお客同士でざわざわしはじめた
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『げ・・・。これは、やっちまったか?』

これが、この地に住む人の日本人に対する素の感情・・・?

これまでそれなりの数の中国人に会って『反日感情』というものを直接的に一度も感じた事がなく、

どこかリアルじゃない様な気がしていたが、それは勘違いだったのかも知れない。

そして、そういった現地の人の気持ちに無自覚で踏み込んだ事をなじられてる様な気がして、

とても気まずい気持ちになった。









ばあちゃん:「・・・若い日本人が来るのは、珍しいわねえ」

なんか、シュンとしてしまった僕に、ばあちゃんが話しかけてきた。

KOU:『・・・?』

若くもないのだが、そういえば、僕はこの国の同世代の人よりは随分若く見られるのを思い出した。

ばあちゃん:「あんた、何歳ぐらい?30何歳でしょ?」

・・・よく判らない流れだが、ここはばあちゃんに話を合わせておくか。

KOU:「36です」

ばあちゃん:「ほらね

ばあちゃんが地元の人たちを振り返って大笑いすると、地元の人たちも大笑いしていた。

『???』

ばあちゃんたちや店の人たちが何ならペチャクチャと話をしている。

その内容は、僕には全く判らないが、とりあえず、冷えた雰囲気が急速に回復していくのが判った。

『なんかよく判らんが・・・僕自身のことは、悪い風にはとらえられていないらしい・・・




















●スープにはとても小さなカニが入っていた
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ばあちゃん:「あんた、なんで哈爾濱なんか来たの?」

そのような込み入った質問には、僕の中国語力では回答できない。

勿論、少しの英語も通用しないので、XPERIAのGoogle翻訳を立ち上げて回答しようとすると、

それでまたばあちゃんじいちゃんは爆笑してくれた。

『ええと・・・』

「昔、祖父母がこの街で暮らしていた」と伝えると、またどよめき、少し気まずい雰囲気になる。

『・・・また、悪いほうにとられかねない事伝えて、僕はバカか

急いで『祖父は農業技術者で、寒冷地向けの品種改良をしていたらしい』と伝えると、

皆さん興味深そうだった。

・・・ここにいる人たちが農家さんの可能性が高い事を考えると、この反応は納得だ。

その後、僕が聞き取れない中国語には音声を翻訳してくれる『ワンダーテレホン』が活躍してくれた。

ばあちゃんは面白がって、色々質問してくる。

それに答えるうちに、僕の父が昔この街で生まれた事、その付近を僕が探訪しに来た事や、

かつて祖母が日本に脱出する道中、親切な中国の人に助けられた事を生前感謝していた事など、

図らずも伝える事になった。

こういった複雑な話が、Googleの自動翻訳でどのくらい正確に伝える事が出来るのか心配で、

翻訳結果で明らかに間違っているものは自分で出来る範囲で修正してやりとりしてみた。

それでも目の前にいるばあちゃんや周囲の人に、どこまで正確に伝わったか判らないが・・・

やりとりはかなり明るくて楽しいものになったから、互いの気持ちは伝わっていたのだと思う

KOU:「そろそろ行きます。皆さん、ありがとう

屋台のおばちゃん:「よい旅を。また来てね~

出発前、BROMPTON(ヘンテコな自転車である)を展開すると、また笑いが起きて、

皆さん手を振ってくれた。


















●とても満足な朝ごはんだったけれど・・・
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最初の目的地である『大成街』まではかなり大回りしなければならない。

僕は今、通行できる場所が限られている鉄道線を挟んで大成街とは反対側の北側の街を走っている。

早朝の時間帯に、線路の北側の街をポタリングした後、線路南側の街に行く事にしよう。

適当に走っているうちに通過したロシア様式の聖堂には、この後2回立ち寄る事になる。


















●庶民的な街
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僕はやはりキレイな街より庶民的な街を好んで探訪する傾向があるようだ。

移動中も、裏通りの方についつい迷い込んでしまう。



















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小さな子供を連れた若いママがボロボロの共同住宅から出てくる。

見上げると、各階の窓ガラスの種類が違うのが判る。

外観は全体的にボロでも、個別の部屋は、家庭によってはとても綺麗で清潔というパターンかもだ。

共用階段を登ってみたい衝動に駆られるが、住人に迷惑だろうし、

僕自身にも何かあるとまずいのでやめとこう。


















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哈爾浜市内で度々見かけた小型タクシーがアパートの前に駐められていた。

路上でけっこうめちゃくちゃな走り方をするヤツだ。

これの運転手さんが住んでいる部屋があるんだろうね。



















●松花江までやってきた
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哈爾浜市の中央部より少し北側を流れる大きな川。

中国とロシアを隔てる黒龍江(アムール川)最大の支流だったハズだ。





















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一見、川幅はそれほどでなく見えるが、この対岸は巨大な中州であり、純粋な川幅は10kmほどある。

木曽川、長良川、揖斐川の河口部の一番太い部分を横に束ねて一本の川になっている様なものか。

現代においても度々大洪水が発生しているそうで、すぐ近くに水防の記念碑が建っていたりする。




















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じいさんはあの橋でソ連に連れていかれたのかと思うと切ないが、記念写真くらいは撮っておこう。

パチリ☆



















●中国国内では度々野犬(?)を見かける
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なぜか、かわいらしいサイズ、かわいらしいタイプのワンコが多い

ってか、デカいサイズの野犬は、やっぱ捉えられて殺処分とかされてるのかな




















●街の南側に向けて進路を取る
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川そばには素朴な釣具屋が見え、その先にオフィスビルと思しき高層建築が見える。

この先が、哈爾浜の中心街かしら・・・?




















●朝の中国を疾走する
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時間はそろそろ8時。

通勤のクルマや電動バイクが増えて、街が動き出したのを感じるぞ

こうやって走ってみると、哈爾浜の街もかなり大きい。




















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都市として洗練されているとは言えないが、規模は名古屋と遜色なく見える。

この国には、こんな街が20も30もあるんだろうか




















●唐突に出現した緑で造られたオブジェ
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植木を家や樹木のカタチにカッティングしたんだろうか。なかなかユニークな見た目だった。

ヘンテコなキノコみたいな高い木が面白い




















●中央大街というところにさしかかる
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なにやら緑が豊かで、見どころが多そうな区画だ。

立ち寄ってみよう




















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そこは、ロシア風の街が、延々と続くエリアだった

中国語の解説板によると、歴史的な価値が高いため中国の重要景観等に指定されているらしかった。



















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街中に敷き詰められた石畳が印象的だった。

BROMTONを押すのには厄介で仕方なかったが、思わず写真を撮る。





















●まあ、正直、西洋的に整った街にそれほど興味はない・・・
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世界中の都市が全体的に欧米資本主義的な街並みに変わりつつある世の中、

各地域のローカルカオスな風情を目に焼き付けておく事に、時間を割きたい。



















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こういう下町エリアの宿泊施設に投宿するのも、きっと楽しいんだろうなあ。

僕はなかなかそこまで振り切れないが・・・




















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色々な旅ブログで、カオスな旅を続けている人を見ると、スゲーなと思わされる。

哈爾浜でマンガ喫茶みたいなトコに泊まりながら旅してたり、人によっては野宿してたりとか・・・。

『旅』の種類がちょっと違うという事もあるのだろうが、『カオス』なところに飛び込むならそっちが上だ。

僕の旅は、『チャリを持ち込んで』というところに多少のオリジナリティはあかもだけれど、

『混沌の深淵(カオスデプス・・・笑)』に到達する事は出来ないだろうな~

多少は身の安全を考えちゃうもんな。ビビりなんだよね、きっと。



















●・・・・そんな事を考えているうちに、線路を越えて街の南側に入った
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この『線路』を越えるのが一苦労だったが、これで『大成街』のある南側のエリアに行けるぞ




















●やたら古い民家が残るエリアを通過
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こういった民家は、築100年くらい経っているかも知れない。

平屋の建物をあまり見かけなかった哈爾浜市内中心部で、このあたりにだけ見られた光景。

祖父母がいた時代から残っているものかも知れない。


















●馬家溝河にかかる橋までやってきた
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この馬家溝河沿いに下ると、最初の目的地と考えていた『大成街』付近に行ける。

しかし、朝の間走り回って、時刻は10時が近くなっている。

大成街の探訪に没頭すると、ふっと思いたった731部隊の遺構に行けなくなるかも知れない。

731部隊の史跡は、この紅軍街をず~っと南に20kmほど下った郊外にあるらしい。

ならばそちらを先に回り、大成街の探訪は夕方にするのが上策だろう。

よし、731部隊遺構まで突っ走るぞ

















●ここまでのルート
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